「そろそろ歯が生えてもいい頃なのに…」
そう思って、ついお子さんの口の中をのぞき込んでしまうこと、ありますよね。
歯科衛生士としてたくさんのママと話してきましたが、このタイミングで不安を感じる方は本当に多いです。
「周りの子はもう生えているのに、うちはまだ…」と心配になる気持ち、よくわかります。
でも実は、乳歯の生える時期ってとても個人差が大きいんです。
今日は、「焦らず・やさしく・ちょっとだけ知識を足す」そんなお話をしたいと思います。
よく聞く「生後6ヶ月で歯が生える」って本当?
多くの育児本には「生後6ヶ月ごろに歯が生え始めます」と書いてありますよね。
もちろんこれは平均的な目安ではあるのですが、実際にはかなり幅があります。
✔ 早い子だと4ヶ月で生えてくる
✔ 遅い子だと1歳を過ぎてからようやく生える
どちらも正常の範囲です。
歯ぐきの中ではきちんと準備が進んでいますので、「うちの子まだかな?」と思っても、あまり神経質にならなくて大丈夫です。
むしろ、「生えるスピード=発達のスピード」ではありません。
歩くのが早い子・遅い子がいるように、歯の成長もその子のペースがあります。
「生えてきた!」ときにやってほしいこと
初めて小さな白い歯が見えたとき、
「わあ、かわいい!」と同時に「何をすればいいの?」と戸惑うママも多いです。
実は、この時期に大事なのは“磨く”より“慣れる”ことです。
歯ブラシを完璧に使う必要はまったくありません。
たとえば──
- ガーゼや綿棒でやさしく拭う
- 口の中を触られることに慣らす
- 歯ブラシをおもちゃのように持たせる
そんな「準備期」くらいの感覚でOKです。
私の子どもも、最初のうちは口に入れた歯ブラシをブンブン振り回してました(笑)
でも、「嫌がらない経験を積む」ことが後々の歯磨き習慣につながります。
仕上げ磨きのタイミングは“歯が2本見えたら”
1本だけのときはガーゼでも十分ですが、上下に2本そろったら歯ブラシの出番です。
選ぶときのポイントは、
- ヘッドが小さい
- 毛がやわらかい
- 柄が短くて軽い
この3つ。
子ども用歯ブラシはたくさん種類がありますが、最初は「見た目でかわいいもの」でもOKです。
大事なのは、ママが使いやすいことと、子どもが嫌がらないこと。
完璧な磨き方よりも、「続けられること」がいちばんです。
歯が生えると、ちょっとした変化も
歯が生えてくると、よだれが増えたり、夜泣きが増えたりすることがあります。
歯ぐきがむずがゆくて不快なのです。
そんなときは、冷たいガーゼを噛ませてあげたり、歯固めを使うのもおすすめです。
「夜泣きが増えたのは歯のせいかも?」と気づくだけで、
少し気持ちがラクになることもありますよね。
「歯が生えない」より「歯が早すぎる」が心配なとき
たまに「もう3ヶ月で歯が見えてきたんです」と相談を受けます。
早いぶんには問題ないことがほとんどですが、まれに歯の位置や形に注意が必要なケースもあります。
気になるときは、1歳半健診や歯科医院の乳幼児健診でチェックしてもらうと安心です。
“診てもらう=トラブル”ではなく、“安心をもらいに行く”くらいの気持ちでOKです。
まとめ:歯の成長は「待つ」こともケアのひとつ
乳歯の生える時期や順番は、ほんとうに個人差があります。
早くても遅くても、どちらでも大丈夫です。
大切なのは、
- 子どもが歯磨きを嫌いにならないように
- 口を触られることを楽しく感じられるように
- 「ママが安心して笑っていられる」ように
そうやって、歯と一緒に「ケアの習慣」を育てていくことです。
だから焦らなくていいです。
小さな白い歯は、その子のタイミングで、ちゃんと顔を出してくれます。

