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妊娠中の歯ぐきの腫れ対策5つ|歯科衛生士ママ

「妊娠してから歯磨きのたびに歯ぐきから血が出る」「歯ぐきが腫れてブヨブヨしている気がする」――こんな悩み、妊婦さんからの相談で本当によく聞きます。私自身、歯科衛生士として15年働いてきた中で、妊娠中の患者さんの8割くらいは何かしら歯ぐきのトラブルを抱えていました。

結論からお伝えすると、妊娠中の歯ぐきの腫れや出血は「妊娠性歯肉炎」と呼ばれるもので、決して珍しくありません。でも、放っておくと早産や低体重児出産のリスクにつながるという報告もあるので、正しいケアを知っておいてほしいんです。今回は、妊娠中だからこそ気をつけたいお口のケアを、ママ目線でまとめました。

目次

妊娠中に歯ぐきが腫れやすくなる3つの理由

「ちゃんと歯磨きしてるのに、なんで?」と思いますよね。実は、妊娠中は普段と同じケアでは追いつかない理由があるんです。

理由1: 女性ホルモンの急増で歯ぐきが過敏になる

妊娠中は「エストロゲン」と「プロゲステロン」という女性ホルモンが一気に増えます。実はこのホルモン、歯周病菌の一部(プレボテラ・インターメディアという菌)の大好物なんです。妊娠後期にはホルモン量が通常の10〜30倍にもなると言われていて、菌が一気に増えやすい環境ができてしまいます。

さらにホルモンの影響で歯ぐきの血管がもろくなり、ちょっとした刺激で出血しやすくなります。「優しく磨いてるのに血が出る」のはこれが原因です。

理由2: つわりで歯磨きが雑になる

つわりがある時期は、歯ブラシを口に入れるだけで吐きそうになる方が本当に多いです。私の患者さんでも「奥歯まで届かない」「歯磨き粉の味で気持ち悪い」という声をよく聞きます。結果として磨き残しが増え、プラーク(歯垢)が溜まって炎症が悪化します。

理由3: 唾液の減少と食習慣の変化

妊娠中は唾液の質が変わり、ねばつきやすくなります。唾液はお口の自浄作用を担う大事な存在なので、これが減ると菌が増えやすくなります。加えて「甘いものが食べたくなる」「少しずつ何回も食べる」という食習慣の変化も、お口の中が酸性に傾く時間を長くしてしまうんですね。

今日からできる妊娠中のセルフケア5つ

診療室で妊婦さんに必ずお伝えしているケアを、優先度順にご紹介します。全部やる必要はありません。できるところから取り入れてみてください。

1. ヘッドの小さい歯ブラシに変える

つわりがある時期は、とにかく「えずかない」ことが最優先。ヘッドが小さくて毛先が柔らかい歯ブラシに変えるだけで、グッと磨きやすくなります。子ども用の歯ブラシを使うのもアリです。

歯磨きでえずいてしまう方は、こちらの記事も参考にしてみてください。原因別の対処法をまとめています。

歯磨きでえずく原因と対策|歯科衛生士が解説

2. 歯磨き粉は無理に使わない

味やにおいで気持ち悪くなる場合は、歯磨き粉なしで磨くのもOKです。一番大事なのはブラシで物理的にプラークを落とすこと。歯磨き粉がなくても十分プラークは落とせます。落ち着いてきたら、低刺激・無香料タイプを少量から再開するといいですよ。

3. 1日1回はフロスを通す

歯ぐきが腫れているときこそ、歯と歯の間のプラーク除去が効きます。「血が出るから怖い」という方が多いですが、フロスで出る血は炎症が改善するサインの場合がほとんど。1〜2週間続けると逆に出血が減っていきます。

フロスの選び方や使い方は、こちらでくわしく解説しています。

デンタルフロスおすすめ5選|歯科衛生士が厳選

4. うがいの回数を増やす

食後すぐ歯磨きできない時間帯は、水でしっかりブクブクうがいするだけでも違います。マウスウォッシュを使う場合は、アルコールフリー・低刺激タイプを選んでください。アルコール入りのものはつわりを悪化させる原因になります。

マウスウォッシュおすすめ5選|歯科衛生士が15年使って選んだ

5. 安定期に必ず歯科健診を受ける

妊娠16週〜27週ごろの安定期は、歯科治療を受けるのに最適な時期です。多くの自治体で「妊婦歯科健診」が無料または低額で受けられます。母子手帳をもらうときに案内があるはずなので、忘れずチェックしてください。

こんな症状が出たら早めに歯科へ

セルフケアでよくならない、もしくは以下のような症状がある場合は、歯科受診をおすすめします。

  • 歯ぐきがブヨブヨして触ると痛い
  • 歯ぐきにしこりのような腫れができた(妊娠性エプーリスの可能性)
  • 口臭が急にきつくなった
  • 歯がグラつく感じがする
  • 歯ぐきから膿のような汁が出る

「妊娠中でも歯科治療できますか?」とよく聞かれますが、安定期であればクリーニングや虫歯治療は問題なくできます。レントゲンも防護エプロンを使えば胎児への影響はほぼゼロというのが今の見解です。「妊娠中だから我慢しよう」と思わず、気になったら相談してくださいね。

産後も油断は禁物

意外と知られていないのですが、産後も歯ぐきトラブルは続きやすいです。授乳で水分・栄養が奪われる、夜中の授乳で歯磨きを忘れる、自分のことが後回しになる…と、ママのお口は荒れがち。

私自身も産後しばらくは歯ぐきが腫れていました。「赤ちゃんが寝ている間に5分だけ自分のお口をケアする時間を作る」――これだけで全然違います。

まとめ: 妊娠中こそお口のケアを見直すチャンス

妊娠中の歯ぐきトラブルへの対処法をまとめます。

  1. ヘッドの小さい柔らかめの歯ブラシに変える
  2. 歯磨き粉は無理に使わず、ブラシでプラークを落とす
  3. 1日1回はフロスで歯間ケアをする
  4. うがいの回数を増やし、低刺激のマウスウォッシュを活用
  5. 安定期に妊婦歯科健診を必ず受ける

妊娠中のお口の健康は、生まれてくる赤ちゃんの健康にも直結します。「今は無理せず、できる範囲で」を合言葉に、まずは歯ブラシを見直すところから始めてみてください。応援しています。

この記事を書いた人

歯科衛生士として長年勤め、そして3人の子育てをしながら「毎日のケアをもっと楽に、優しくしたい」という想いでオーラルNoteを運営しています。

専門知識だけでなく、実際のママとしての経験も交えて、家でできる正しいお口のケア方法をわかりやすくお届けします。

むずかしい話ではなく「今日からちょっとだけラクになるケア」を大切に発信しています。

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