「毎日磨いているのに、なんで虫歯になるんだろう?」
そんなふうに感じたことはありませんか?
実は、歯磨きの“順番”と“当て方”をちょっと変えるだけで、磨き残しがグッと減ることがあります。
今日は、歯科衛生士として現場でよく聞かれる質問「正しい歯磨きの順番と当て方」について、わかりやすくお話しします。
よくある「なんとなく磨き」の落とし穴
毎日の歯磨き、どんな順番で磨いていますか?
「なんとなく前歯から」「右利きだから右から」など、習慣で始める方が多いと思います。
でもこの“なんとなく”が、磨き残しの大きな原因になることがあるんです。
特に、奥歯の内側や歯と歯の間、そして下の前歯の裏側。ここは見えにくく、後回しにされがち。
そしてそのまま…磨き残しゾーンになってしまうのです。
理想的な歯磨きの順番とは?
歯磨きは「奥から手前へ、上から下へ」という流れを意識すると、ムラなく磨けます。
一つずつ順番に見ていきましょう。
- 上の奥歯の外側 → 前歯 → 反対側の奥歯
- 上の歯の内側(裏側)を同じ順番で
- 下の奥歯の外側 → 前歯 → 反対側の奥歯
- 下の歯の内側(裏側)を同じ順番で
- 最後に噛み合わせ面を磨く
これで1周。
毎日同じルートで磨くと、磨き残しチェックがぐっと楽になります。
“いつもと同じ順番”は、歯磨きの質を安定させる最大のコツなんです。
歯ブラシの「当て方」が9割を決める
順番が整っても、当て方が雑だと効果が半減してしまいます。
大事なのは「力」ではなく「角度」です。
- 歯と歯ぐきの境目に、45度の角度で当てる
- 小刻みに“やさしく”動かす(1〜2歯分ずつ)
- ブラシの毛先で汚れをかき出すイメージで
この「45度」は、歯ぐきのすぐ下にある歯周ポケット(汚れがたまりやすい溝)に毛先が届く角度です。
ゴシゴシ力任せに動かすよりも、やさしく細かく動かした方が、結果的に汚れは落ちます。
“優しく当てる=汚れが落ちない”ではありません。
“毛先が届く=汚れが取れる”なのです。
フロスと歯間ブラシは「仕上げ」ではなく「セット」
歯磨きだけでは、歯と歯の間の4割近くの汚れが残ると言われています。
そこに活躍するのが「フロス」と「歯間ブラシ」。
使う順番は、歯磨きの前でも後でもOKです。
ただし、初めのうちは歯磨き後に使う方が「どこに汚れが残っているか」がわかりやすいです。
そして大切なのは、“毎日じゃなくてもいい”ということ。
無理せず、「今日は丁寧に磨きたい日」だけでもOK。
続けられることが、いちばん大事です。
歯ブラシ選びも「当てやすさ」を重視
よく「歯ブラシってどれを選べばいいの?」と聞かれます。
実は、値段よりも自分の口のサイズと磨きやすさがポイントです。
- ヘッドは「小さめ」でOK(奥まで届く)
- 毛の硬さは「ふつう」か「やわらかめ」
- 柄の長さは「持ちやすい」ものを
電動歯ブラシを使う方は、動かしすぎないことがコツ。
機械の動きに任せて、やさしく当てるだけで十分です。
まとめ|「正しく磨く」は“丁寧な生活習慣”
歯磨きは、1日3回やる「作業」ではなく、
1回1回の“習慣の質”が未来の歯を守ります。
順番を決めて、力を抜いて、毛先を意識する。
たったそれだけで、磨き残しが減り、虫歯や歯周病のリスクも下がります。
そして何より、“ていねいに磨く時間”は、自分の身体を大切にする時間でもあります。
今日の歯磨き、少しだけ丁寧にしてみませんか?

