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ドライマウス(口腔乾燥)の原因・影響・改善法

ドライマウス(口腔乾燥)の原因・影響・改善法

歯科衛生士をしていると、「最近、口の中が乾くんです」という相談をよく受けます。
一見ちょっとした不調のように思えて、実は放っておくと、むし歯や口臭、さらには全身の不調につながることもあるのが「ドライマウス(口腔乾燥)」です。

今日はそんな「ドライマウス」について、
なぜ起こるのか?どんな影響があるのか?どうやって改善していけばいいのか?
というお話をしていきたいと思います。

目次

「ドライマウス」ってなに?

まず、「ドライマウス」とはその名の通り、口の中が乾いている状態のことを指します。
医学的には「口腔乾燥症」といって、唾液の分泌量が減ることで、口の中の潤いが足りなくなっている状態をいいます。

唾液というのは、実はものすごく優秀なんです。
食べ物を飲み込みやすくしてくれたり、細菌の繁殖を防いでくれたり、歯を守る働きもしています。
ざっくり言うと、「口の中を清潔で健康に保つ天然の守護神」です。

この守護神が減ってしまうとどうなるか?
口の中が乾くだけでなく、細菌が増えやすくなり、むし歯・口臭・歯周病など、いろんなトラブルが起こりやすくなります。

どうして口が乾くの?(原因)

「ドライマウス」は、ひとつの原因ではなく、いくつもの要素が重なって起こることが多いです。
代表的な原因を少し紹介しますね。

① 加齢による唾液腺の機能低下

年齢を重ねると、唾液を出す腺(唾液腺)の働きが弱くなります。
これは自然なことですが、特に60代以降では唾液の量が減る傾向が見られます。

② 薬の副作用

実は、薬によって唾液が出にくくなることがあるんです。
代表的なのは、

  • 血圧の薬
  • 抗うつ薬
  • アレルギーの薬
    などです。
    「最近、薬が増えてから口が乾く気がする」という方は、薬の影響も疑ってみましょう。

③ 口呼吸

寝ているとき、口が開いている人いませんか?
そういう方は、朝起きると口がカラカラになっていることが多いです。
鼻が詰まっていたり、無意識に口呼吸になっていたりするのも、ドライマウスの原因になります。

④ ストレスや緊張

意外に多いのがこれ。
人間は緊張すると、交感神経が優位になり、唾液の分泌が減ります。
たとえば、面接中や発表前に口が乾くのはその典型です。

⑤ 水分不足・脱水

単純に水分が足りないケースもあります。
コーヒーやお酒ばかり飲んでいると、利尿作用で体の水分が減り、口の中も乾きやすくなります。

ドライマウスがもたらす影響

「ちょっと口が乾くくらい、大したことないでしょ?」と思われがちですが、
実はじわじわと口内環境を悪化させるのがドライマウスの怖いところです。

むし歯・歯周病のリスクが上がる

唾液が少なくなると、口の中の酸を中和できなくなり、むし歯菌が活発になります。
また、歯ぐきの血流も悪くなり、歯周病のリスクもアップ。

口臭が強くなる

口の中が乾くと、細菌が増えます。
この細菌が“ガス”を出すことで、いわゆる「生臭い口臭」が発生します。

味覚障害

唾液は味を感じるセンサーを守る役割もあります。
そのため、乾燥すると味が薄く感じたり、金属っぽい味がすることもあります。

話しづらさ、食べづらさ

口が乾くと、舌や唇が動きにくくなり、「話すときに舌が引っかかる」「食べ物が飲み込みにくい」といった不便を感じやすくなります。

すぐできる改善法

とはいえ、「唾液を増やす」ってどうしたらいいの?と思いますよね。
実は、毎日の生活の中で少し意識を変えるだけでも、改善することができます。

① 水分をこまめにとる

一気にガブガブ飲むよりも、少しずつこまめに。
口の中を潤すには、1日を通して水を意識してとることが大切です。
特に、寝る前や起きた後の一口が効果的です。

② よく噛んで食べる

咀嚼(そしゃく)を増やすことで、自然と唾液の分泌が促されます。
ガムを噛むのもおすすめ。
ただし、糖分入りではなく「キシリトール配合」などのガムを選びましょう。

③ 唾液腺マッサージ

あごの下や耳の前を、指の腹でやさしく円を描くようにマッサージします。
これだけでも唾液腺が刺激されて、分泌を促すことができます。

④ 加湿器を使う

冬場の暖房や夏の冷房は、空気を乾燥させます。
寝るときに加湿器を使うだけでも、朝の口の乾きがかなり違います。

⑤ 口呼吸をやめる工夫

鼻づまりがある場合は耳鼻科で相談を。
また、寝ているときに口が開いてしまう人は、口閉じテープを使うのも効果的です。

生活の中で意識したいこと

  • コーヒー・アルコール・タバコは控えめに
  • ストレスを溜めすぎない(リラックスが大事)
  • 食後のうがいを習慣にして、口の中を清潔に保つ

これらの小さな積み重ねが、ドライマウスの改善に大きくつながります。

よくある勘違い

「乾いてるけど、年のせいだから仕方ない」
そう思っている方は意外と多いです。

でも実際は、年齢だけが原因ではありません。
生活習慣や薬の影響、口呼吸など、後から変えられる要素もたくさんあります。

つまり、「年だからもう無理」ではなく、
「できることをちょっとずつやってみよう」で十分なんです。

歯科衛生士としてのひとこと

個人的に感じるのは、ドライマウスは「身体のサイン」だということです。
疲れていたり、ストレスが溜まっていたり、水分が足りていなかったり。
そんなとき、まず口の中が教えてくれるんです。

だから、「口が乾いてるな」と思ったら、
それは「ちょっと休んでね」という身体からのメッセージかもしれません。

まとめ

ドライマウスは放っておくと口内環境を悪化させますが、
正しく知って、生活を少し整えるだけで、確実に改善が見込めます。

難しいことを頑張るより、
「水を意識して飲む」「噛む回数を増やす」など、
小さな習慣から始めてみてください。

そして、長く続く乾きや不快感がある場合は、
無理せず歯科医院で相談してみましょう。
専門的な検査や保湿ジェルなど、あなたに合ったケア方法を提案してもらえます。

口の潤いは、心の余裕。
今日から、少し“うるおい習慣”を意識してみませんか?

この記事を書いた人

歯科衛生士として長年勤め、そして3人の子育てをしながら「毎日のケアをもっと楽に、優しくしたい」という想いでオーラルNoteを運営しています。

専門知識だけでなく、実際のママとしての経験も交えて、家でできる正しいお口のケア方法をわかりやすくお届けします。

むずかしい話ではなく「今日からちょっとだけラクになるケア」を大切に発信しています。

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