フロス、便利なんですけれど、たまに「あっ…切れた」「え、引っかかって抜けないんだけど!」って瞬間、ありませんか?
一般的には「フロスの入れ方が悪いから」と言われがちですが、実はもっといろんな原因があります。
今日は、その“裏側”も含めてお話ししますね。
「フロスが切れる=使い方が悪い」は本当?
よくあるアドバイスとして、
「フロスが切れるなら、もっと優しく入れてください」
…これ、間違ってはいないのですが、ちょっと厳しめなんですよね。
優しくしたら良いのは確かです。でも、原因ってそれだけじゃないんです。
例えば、糸が繊細なフロスを使っていたり、歯と歯の間がすごく狭かったり。
もしくは、歯石や詰め物の段差が引っかかっていたり原因は1つだけではないのです。
つまり、「やり方が悪い!」と自分を責める必要は全然ないです。
フロスって、意外と繊細なんですよね。
「靴下の糸がちょっとしたささくれに引っかかって破ける」みたいな、そんなイメージが近いです。
よくある原因と“日常あるある”
● 歯と歯の間がキュッと狭い
これは生まれ持った噛み合わせの個性です。
「人混みの電車でリュックが引っかかる」みたいな状態です。そりゃ、抜けづらいですよね。
● 歯石がついている
フロスがささくれたり、途中で引っかかったりします。
歯石=小さな“石の段差”なので、糸は弱いです…負けます。
● 詰め物や被せ物の境目が段差に
昔詰めた銀歯やレジン(白い詰め物)の境目がほんの少しだけ段差になっていると、そこでフロスがひっかかります。
見た目では分からないくらい小さな段差でも、糸が切れる場合があります。
患者さんからは、
「ここだけ毎回フロスがモサモサになるんですけど…!」
というお声、すごくよくあります。
詰め物の劣化や経年変化で起こる事があります。
ただ、繰り返す場合は歯科で形を整えてもらうと、スッと通りやすくなります。
● 歯と歯の間のむし歯
見た目が分かりづらい“横からのむし歯”です。
柔らかくなった部分(軟化象牙質)に糸が食い込んで、ほつれたり切れたりしやすくなります。
毎回同じ場所で引っかかる、甘いものや冷たいものでしみる、フロスに茶色っぽいカスがつく――このあたりはサインです。
自力で治るものではないので、早めのチェックで虫歯であれば治療をしましょう。
● フロス自体が劣化している
実は、フロスも消耗品です。
毎日使っていると、だんだん繊維が弱くなって切れやすくなります。
切れてしまった場合は糸が弱っていたサインなので新しいものに取り替えましょう。
洗濯物のゴムがある日突然ゆるんでくるみたいに、
日々のちょっとした負担の積み重ねで糸もたるんできます。
[チェックリスト]今のフロスの使い心地は?
□ 同じ場所だけ引っかかる
□ 糸が毎回ふわふわになる
□ 痛いからつい飛ばしてしまう
□ 入れるときに怖い
□ 冷たい/甘いものでしみる(隣接面う蝕のサイン)
□ フロスに茶色っぽいカスがつく(要受診の目安)
ひとつでも当てはまるなら、
歯の状態を見直していいタイミングです。
じゃあ、どうすれば?やさしい対処法
- 毎回同じ場所で引っかかる+しみるなら、隣接面う蝕の可能性があります。
早めに歯科でチェックして、小さいうちに治すと負担が少ないです。
まとめ
フロスが切れる・引っかかるのは、
- 歯のすき間の形
- 歯石や詰め物の状態
- 歯と歯の間のむし歯(隣接面う蝕)
- フロスの種類
- ちょっとした手の動き
――こういった“条件”の組み合わせで起きます。
「あれ?ここだけ毎回…」「しみる感じが出てきた…」は合図。
遠慮なく歯科で相談して、未来のトラブルを小さいうちに手当てしていきましょう。

