今日は、「歯石(しせき)」について書いてみたいと思います。
そう、あの「歯医者さんでガリガリ取られるアレ」です。
あれ、嫌ですよね。音もイヤだし、なんか冷たいし。
「そんなに溜まってたの!?」と、ちょっと恥ずかしくなることもあります。
でも実は、歯石って誰にでもできるものなんです。
「ちゃんと磨いてるのに…!」という人でも、気づかぬうちにちゃっかり育ってます。
まな今日はその正体と、なぜできるのか、いつ取るべきか、放っておくとどうなるのか。
そして、「無理なく続けられるケアの考え方」までを、ざっくりお話ししていきます。
「歯石=石」じゃないって知ってました?
まず、歯石って“石”って書くけど、正確には「石化した汚れ」です。
つまり、最初は歯垢(プラーク)なんです。
この歯垢、ものすごくざっくり言うと「細菌のかたまり」です。
しかもこの細菌、口の中の温度と湿度が大好きで、24時間365日、超快適に暮らしています。
まるで常夏リゾート。彼らにとっては、私たちの口がまるでハワイなんです。
で、この歯垢が放置されると、唾液の中のカルシウムやリン酸とくっついて、
2日〜10日くらいでカチカチに固まります。これが歯石です。
「いや、そんなすぐ!?」と思うかもしれませんが、
本当に数日で固まります。
たとえば、旅行に行って3日くらい歯磨きを適当に済ませるだけでも、
歯石の“タネ”ができることがあります。
「歯垢」と「歯石」は似て非なるもの
ここ、けっこう混同されやすいポイントです。
歯垢(プラーク)は柔らかい。爪で触っても取れます。
でも歯石はガチガチで、ブラシではびくともしません。
イメージ的には「ごはん粒」と「コンクリート」くらい違います。
そして厄介なのが、歯石の表面がザラザラしていること。
そのザラザラにまた新しい歯垢がついて、
さらにそれが固まって…という悪循環ループが始まります。
つまり、歯石は「歯垢の温床」なんです。
汚れが汚れを呼ぶシステム。
おそろしいですよね。
歯石ができやすい人・できにくい人
これもよく質問されます。
実は、唾液の質と量に大きく関係しています。
唾液にはカルシウムなどのミネラルが含まれています。
それが多い人は、歯石ができやすい。
特に下の前歯の裏側(舌の下のあたり)や、
上の奥歯の外側(ほっぺの近く)は唾液腺が近くにあるので、固まりやすいです。
あと、「歯並び」「磨き方のクセ」「口呼吸」なんかも関係します。
口呼吸の人は口の中が乾きやすく、唾液の自浄作用が弱まるため、
結果的に歯垢が溜まりやすいんです。
つまり、「自分の努力だけじゃ防ぎきれない要素」もあります。
だからこそ、「ちゃんと磨いてるのに歯石ができる」って、ある意味当然なんです。
歯石を取るタイミングっていつ?
結論から言うと、3〜6ヶ月に1回のクリーニングが目安です。
ただ、これは「平均的な人」の話です。
歯石がつきやすい人は、2〜3ヶ月に一度の方が安心です。
「そんなに頻繁に行くの!?」と思うかもしれませんが、
歯石は自力では取れません。
そして、見た目でわかる頃にはすでにけっこう溜まっています。
特に歯ぐきの下につく「歯周ポケット内の歯石」は、
目で見えない場所に潜んでいるので、気づきにくいです。
これは専門の器具じゃないと取れません。
つまり、「痛みがない=大丈夫」ではないんです。
静かに、確実に進行していく。まさに“サイレントトラブル”です。
放っておくとどうなるのか?
ここが一番怖いところです。
歯石そのものが直接悪さをするわけではありません。
でも、歯石の上に住み着く細菌が問題です。
細菌が歯ぐきを刺激し、炎症を起こします。
これが歯肉炎。
進行すると、歯を支える骨(歯槽骨)が溶けていき、歯周病になります。
歯周病は、日本人の成人の約8割がかかっていると言われています。
でも、痛みが出にくいから気づきにくい。
気づいたときには手遅れ…なんてことも珍しくありません。
さらに、最近の研究では、歯周病菌が
心疾患や糖尿病、認知症などの全身疾患とも関係していることがわかっています。
つまり、口の中の歯石が、体全体の健康に影響するということです。
「たかが歯石、されど歯石」なんです。
「取るのが痛い」問題について
「歯石取り、痛いんだよね…」という声、よく聞きます。
たしかに、放置されていた歯石を一気に取ると、
歯ぐきが炎症を起こしていて痛みを感じることがあります。
でもこれは、取られる痛みではなく、炎症の痛みなんです。
定期的にメンテナンスしている人は、
そもそも炎症がないから、ほとんど痛みを感じません。
つまり、「歯石取りが痛い人ほど、サボってた証拠」なんです。
耳が痛い話ですよね。でも、みんなそうです。
誰だって、ちょっと面倒な時期はあります。
とはいえ、だからこそ「こまめに取っておく」が一番ラク。
習慣にしてしまえば、痛みも、時間も、お金も、最小限で済みます。
「家で取れる歯石除去器」ってどうなの?
最近、SNSやネットショップで「超音波スケーラー」みたいな器具を見かけます。
「歯医者いらず!」みたいなコピー、ちょっと惹かれますよね。
でも、正直おすすめしません。
歯石を取るには、歯ぐきの中の状態を確認しながら、
角度や圧を細かくコントロールする必要があります。
自己流でやると、歯ぐきを傷つけるリスクが高いです。
それに、取りきれなかった部分に細菌が残ると、
逆に炎症が悪化することもあります。
「自己メンテでスッキリ!」と思っても、
実は“見えないところで悪化”しているケースも少なくありません。
やっぱり、プロに任せた方が早くて安全です。
これ、料理で言うと「包丁研ぎ」を自分でやるかプロに出すか、みたいな感じです。
自分でもできるけど、プロの仕上がりは全然違うんです。
歯石をためないための小さな習慣
歯石の元は歯垢です。
だから「歯垢をためない」がいちばんの予防です。
・夜寝る前の歯磨きを丁寧に(1日1回“本気磨き”)
・デンタルフロスや歯間ブラシを習慣化
・うがい薬やマウスウォッシュも上手に併用
・口呼吸を減らす(鼻呼吸の練習も効果的)
そして、完璧を目指さないことも大事です。
「1日磨けなかった…」と落ち込むよりも、
「明日は丁寧にしよう」でOKです。
歯も人間も、続けることがいちばんのケアです。
まとめ
歯石は、放っておくと歯ぐきを蝕み、
最終的には歯を失う原因になることもあります。
でも、「きちんと取る」と「定期的に防ぐ」で、確実にコントロールできます。
そして、これはちょっと大げさかもしれませんが、
“歯石を取ること”は、“自分を大切にすること”でもあります。
忙しい日常の中で、たった30分、自分の健康のために時間を使う。
それだけで、未来の自分の歯が守られるんです。
歯医者って「痛い」「怖い」というイメージがまだ強いですが、
本当は「未来の痛みを防ぐ場所」なんです。
そう思うと、少しだけ気がラクになりますよね。
というわけで、
歯石、ためずに、ためても早めに取っていきましょう。
笑顔でモグモグできる人生、長く続けていきたいですからね。


