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フロスは子どもにも必要?

フロスは子どもにも必要?

今日は「子どもにフロスって必要なの?」というテーマで書きたいと思います。
これは、保護者の方からものすごくよく聞かれる質問です。
たぶん、心のどこかで「歯ブラシさえしていれば大丈夫では?」と思っていたりしますよね。

ただ、その“なんとなくのイメージ”が、実は良くも悪くもいろいろな誤解を生んでいるので、今日はそこをゆっくりほどいていきたいと思います。

目次

歯ブラシだけでは届かない場所がある、というちょっと不思議な話

よく言われるのが「子どもは虫歯になりやすいから丁寧に磨きましょう」というものです。
もちろん大事な考え方ですが、このアドバイスって少しざっくりしすぎていて、実際のケアにつながらないことがあると感じています。

特に盲点になりやすいのが「歯と歯の間」です。
歯ブラシの毛先は意外と太くて、歯と歯の間には物理的に入りづらいことがあるんです。
これは大人だけの話ではなく、子どもも同じです。

とはいえ、いきなり「じゃあフロスも必ずしてね」と言われると、正直ハードルは高いですよね。
毎日のバタバタの中で、歯ブラシさえやっとなのに、もう一工程増えるのか…という気持ちはとてもよく分かります。

「小さい歯だから虫歯になりにくい」という誤解が生まれやすい理由

子どもの乳歯って、見た目がちいさくて可愛らしいですよね。
そのせいか、「表面積も小さいし、虫歯にもそんなにならないのでは?」と思われがちです。

でも、実は反対です。
乳歯は大人の歯よりエナメル質が薄く、虫歯が広がるスピードも速いです。
これをざっくり言うと、「ちょっとの汚れが、わりと早めに大問題になる可能性がある」ということです。

しかも、子どもは食べ物も甘いものが多かったり、間食も多かったりしますよね。
歯と歯の間に挟まったまま寝てしまう…なんてこともよくあります。

こう考えると、歯ブラシで落としきれない部分を、フロスがフォローしてくれるという意味はとても大きいです。

フロスは“いつから”使っていい? 年齢別のめやす

「でも、何歳からやればいいの?」という疑問が必ず出てきます。
ここで大事なのは“年齢”より“歯の状態”です。

歯が隣り合っているなら、もうスタートしてOKです

・乳歯が生えてきて
・その横に別の乳歯が生えて
・歯と歯がくっつくようになってきたら

これはもうフロスの出番です。

たとえば3歳くらいで奥歯がほぼそろってくると、歯と歯の間はぎゅっと締まりやすいです。
この時期にできる虫歯の多くは“歯と歯の間”です。

とはいえ、毎日完璧にやる必要はありません。
むしろ、無理なく続けられるペースのほうが長続きします。
週に数回でも十分意味があります。

子どもにフロスするときの、不安ポイントを整理してみました

親御さんからよく聞くのは、こんな不安です。

・痛くしそうでこわい
・嫌がるから難しい
・ちゃんとできているのか分からない

このあたり、気持ちのハードルがとても高いですよね。
私も自分の子どもにやる時、「あれ、今ちょっと痛い顔した?」と気にしてしまうことがあります。

ただ、ここで大切なのは“痛くしない使い方”を知ることです。
フロスは力ではなく、角度と動かし方でスッと入ります。
極端に言えば、力が必要ではありません。
これを知っているだけで、かなり気持ちが楽になります。

子どもに使うフロスの選び方は、シンプルで大丈夫です

フロスとひとことで言っても「持ち手付きのタイプ」や「糸巻きタイプ」など、いろいろあります。
でも、最初はとにかく持ち手のあるY字タイプから始めるのがおすすめです。

なぜかというと、子どもの奥歯はとても見えにくいからです。
Y字だと、手の動きが少なくてもスッと入りやすいです。

長く続けるためにも、「ラクにできること」を優先していいと思います。

イヤイヤ期のフロスは“できる日だけ”で大丈夫です

これは本当に声を大にして言いたいのですが、
「毎日絶対やらなきゃ」
と思わなくて大丈夫です。

イヤイヤ期って、歯磨きだけでも全力で拒否されますよね。
そんな中でフロスまで完璧にしようとすると、親も疲れてしまいます。

“今日は機嫌がいいからやってみよう”
“週に数回だけならいけそう”

このくらいの気持ちで十分です。
虫歯予防のコツは“毎日の完璧”ではなく、“続ける気持ち”です。

まとめ

子どもにフロスは必要なのかと言われると、結論としては
歯が隣り合い始めたら取り入れると効果的です

とはいえ、日常は忙しいものです。
毎日やらなくても問題ありませんし、できる日があればそれで十分です。
親が無理せずできる形で続けることが、長い目で見ると一番大きなケアになります。

フロスは“特別なケア”ではなく、“ちょっとした追加のひと手間”です。
でも、そのひと手間が、子どもの歯と未来の健康をしっかり守ってくれます。

気負わず、楽に続けてみてくださいね。

この記事を書いた人

歯科衛生士として長年勤め、そして3人の子育てをしながら「毎日のケアをもっと楽に、優しくしたい」という想いでオーラルNoteを運営しています。

専門知識だけでなく、実際のママとしての経験も交えて、家でできる正しいお口のケア方法をわかりやすくお届けします。

むずかしい話ではなく「今日からちょっとだけラクになるケア」を大切に発信しています。

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