子どもの歯ぎしりは、その多くが成長の途中で見られる生理的な反応で、すぐに治療が必要なものではありません。乳歯が生えそろう頃や永久歯への生え変わりの時期に、噛み合わせを調整しようとして起こるのが主な理由です。ただし「歯が明らかにすり減っている」「朝あごが痛い」といったサインがあるときは、小児歯科で相談したほうが安心です。歯科衛生士として現場で多くのお子さんを見てきた経験から、心配の見極め方をやさしく整理します。
この記事の結論(先に要点)
- 多くは生理的な反応:乳歯期〜生え変わり期の噛み合わせ調整で、成長とともに自然に減ることが多い
- 気にしたいサイン:歯の大きなすり減り・痛み・朝のあごのだるさ・日中の食いしばり
- 受診先は小児歯科:永久歯が生えそろう12歳頃を過ぎても続く歯ぎしりは別要因のこともある
子どもの歯ぎしりはなぜ起こる?
子どもの歯ぎしりの多くは、成長にともなう生理的な反応です。乳歯が生えそろう頃や永久歯へ生え変わる時期に、変化していく噛み合わせを体が調整しようとして起こります。
歯科では、無意識に歯をこすり合わせたり強くかみしめたりするクセを「ブラキシズム」と呼びます。大人ではストレスや噛み合わせが原因になることが多いのですが、子どもの場合は理由がもう少しシンプルです。「歯の位置を自分で確かめている」「噛み合わせを整えている」——いわば、体が勝手に行っている“調整作業”のようなものなんですよね。
夜、寝ているお子さんから「ギリギリ…」と音が聞こえると、つい心配になります。でも、この時期の歯ぎしりは決して珍しいものではなく、成長の過程でよく見られるサインのひとつです。
放っておいて大丈夫?乳歯はすり減りやすい
多くは経過観察で問題ありませんが、知っておきたい注意点もあります。乳歯は永久歯より柔らかく、強い力が加わり続けるとすり減りやすいのです。
強い歯ぎしりが続くと、なかには乳歯が3分の1ほど削れてしまうこともあります。とはいえ、これは頻度と強さが大きい一部のケース。多くのお子さんは、生え変わりとともに歯ぎしりも自然に落ち着いていきます。大切なのは「止めさせること」より、「気にしたいサインが出ていないか」を見ておくことです。
歯科に相談したほうがいいサインは?
次のような様子が続くときは、一度小児歯科で相談すると安心です。相談=すぐ治療、ではなく、状態を見てもらうだけでも十分です。
- 歯が明らかにすり減っている・欠けている
- 朝起きたときに「あごがだるい・痛い」と言う
- 日中も歯を強くかみしめるクセがある
- 眠りが浅そうで、よく目を覚ます
- 永久歯が生えそろった(12歳頃)あとも歯ぎしりが続いている
とくに最後のポイントは見極めの目安になります。永久歯が生えそろってからの歯ぎしりは、顎の成長によるものではなく、虫歯や噛み合わせの問題など別の要因が隠れていることがあるためです。受診先は小児歯科。歯やかみ合わせの状態を確認し、必要に応じてマウスピースなどの対応を検討します。
家庭でできる、ちょっとした工夫
歯ぎしりは寝ている間のことなので、「やめさせよう」とコントロールするのは難しいものです。そこで、視点を歯ぎしりそのものから眠りの質に移してみるのがおすすめです。
- 寝る前の時間をゆったり過ごす(スマホ・テレビは早めに切り上げる)
- ぬるめのお風呂で体をリラックスさせてから寝る
- 「今日楽しかったこと」を一つ話してから布団に入る
必ず効果が出るというものではありませんが、緊張がほぐれて眠りが深くなると、力みが和らぐことがあります。なにより、親御さんの気持ちが少し楽になることも多いんですよね。日中の食いしばりが気になる場合は、「上下の歯が触れていたら、そっと離す」と声をかけてあげるのも一つの方法です。
子どもの歯ぎしりのよくある質問
子どもの歯ぎしりはいつまで続きますか?
多くは永久歯への生え変わりが進むにつれて自然に減っていきます。永久歯が生えそろう12歳頃を過ぎても続く場合は、別の要因のこともあるため小児歯科で相談しましょう。
歯ぎしりで乳歯がすり減っても大丈夫ですか?
軽いすり減りなら経過観察で問題ないことが多いです。ただし明らかに削れている・痛みがある場合は、小児歯科で状態を確認してもらうと安心です。
子どもの歯ぎしりは何科を受診すればいいですか?
小児歯科です。歯のすり減りやかみ合わせの状態を確認し、必要に応じてマウスピースなどの対応を検討します。相談だけでも受け付けてもらえます。
歯ぎしりは無理にやめさせたほうがいいですか?
寝ている間の歯ぎしりはコントロールできないため、無理にやめさせる必要はありません。眠りの質を整えることや、気になるサインの有無を見ておくことのほうが大切です。
大人の歯ぎしりと原因は違いますか?
違うことが多いです。子どもは成長による噛み合わせの調整が主な理由ですが、大人はストレスや噛み合わせ、食いしばりのクセが関係することが多くなります。
まとめ
子どもの歯ぎしりは珍しいことではなく、その多くは成長の過程で自然に見られるものです。心配になる気持ちはとてもよく分かりますが、まずは「気にしたいサイン」が出ていないかを落ち着いて見てあげてください。歯の大きなすり減りや痛み、朝のあごのつらさが続くときは、小児歯科で相談しながらお子さんの成長を見守っていきましょう。

