朝起きたとき「あごがだるい」「歯が浮く感じがする」——それ、寝ている間のストレス性の歯ぎしりかもしれません。歯ぎしり(ブラキシズム)は、ストレスで体が緊張し、無意識に歯を食いしばることで起こります。放っておくと歯のすり減りや顎関節への負担につながることも。歯科衛生士として15年の経験から、大人の歯ぎしりの原因と、今日からできる対処法をやさしく整理します。
この記事の結論(先に要点)
- 原因:ストレスによる緊張で、寝ている間に食いしばる
- 放置のリスク:歯のすり減り・欠け・顎関節症・肩こり・頭痛
- 対処:寝る前の脱緊張・ナイトガード・日中の食いしばり対策
寝ている間の歯ぎしりはなぜ起こる?
歯ぎしり(専門的には「ブラキシズム」)は、歯をこすり合わせたり、強くかみしめたりする無意識の動作です。大人の場合、その大きな原因のひとつがストレスです。
ストレスを受けると、体は「緊張モード」になり交感神経が優位になります。すると筋肉も一緒に緊張するため、寝ている間でもあごに力が入り、食いしばりや歯ぎしりが起きてしまうんですよね。つまり歯ぎしりは“悪いクセ”というより、体がストレスを処理しているサインとも言えます。子どもの歯ぎしりが成長の一環であるのとは、原因が違うんです(→子どもの歯ぎしりはこちら)。
放っておくとどうなる?
少しの歯ぎしりなら問題ないことも多いですが、毎晩続くと歯やあごに負担がかかります。寝ている間の食いしばりは、自分の体重ほどの力がかかることもあるんです。
- 歯がすり減る・平らになる
- 被せ物や詰め物が欠ける・取れる
- 顎関節症(あごの痛み・開けにくさ)のリスク
- 知覚過敏(歯がしみる)が出やすくなる
- 肩こり・頭痛・顔のこわばりの原因になることも
自分では気づきにくいのが歯ぎしりのやっかいなところ。朝のあごのだるさ、歯の違和感、家族からの指摘は立派なサインです。思い当たる場合は、早めに対処しておくと安心です。
対処法①:眠る前に「脱・緊張」タイムをつくる
ストレスを完全にゼロにするのは難しいですよね。だからこそ大切なのが、寝る前に体の緊張をゆるめる時間をつくることです。
- 寝る前30分はスマホ・パソコンを見ない
- ぬるめのお風呂でリラックスしてから寝る
- 軽いストレッチや深呼吸で肩・首・あごをゆるめる
- 寝る前に温かい飲み物で一息つく
「なんだ、普通のこと」と思うかもしれませんが、毎日の“少しの緩み”があごの力みを減らしてくれます。子どもを寝かしつけたあと、照明を落として一緒に深呼吸——それだけでも十分です。
対処法②:歯の負担を軽くする工夫
すでに歯ぎしりがある場合は、ナイトガード(マウスピース)を歯科でつくってもらうのが安心です。寝ている間に装着するだけで、歯や顎関節への負担をかなり減らせます。市販品もありますが、合わないと逆効果のこともあるため、歯科で歯型に合わせて作るのがおすすめです。
また、見落としがちなのが日中の食いしばりです。本来、上下の歯は安静時には触れていないのが正常。家事や仕事に集中しているとき、上下の歯がくっついている時間が長い人は、ふとした瞬間に“歯を離す”ことを意識してみてください。付せんに「歯を離す」と書いて見える場所に貼っておくのも効果的です。
こんなときは歯科へ
セルフケアで様子を見てよいことも多いですが、次のような場合は歯科で相談しましょう。
- 朝のあごの痛み・だるさが続く
- 歯が明らかにすり減っている・欠けた
- 口を開けるとあごが痛む・音が鳴る
- 歯がしみるようになってきた
歯ぎしりによる知覚過敏が気になる場合は、知覚過敏の歯みがき粉でケアしながら、歯科で原因を診てもらうと安心です。
大人の歯ぎしりのよくある質問
歯ぎしりは自分で治せますか?
寝ている間の歯ぎしりを完全に止めるのは難しいですが、ストレスを和らげる工夫や日中の食いしばり対策で軽くできます。歯の負担はナイトガードで減らせるため、気になる場合は歯科で相談しましょう。
歯ぎしりは何科で相談すればいいですか?
歯科です。歯のすり減りや顎関節の状態を確認し、必要に応じてナイトガード(マウスピース)を作製してもらえます。あごの痛みが強い場合は口腔外科を案内されることもあります。
市販のマウスピースでもいいですか?
市販品もありますが、合わないとかみ合わせを乱し逆効果になることがあります。できれば歯科で歯型に合わせて作るほうが、効果も安全性も高くおすすめです。
日中も食いしばっている気がします。問題ですか?
本来、安静時は上下の歯は触れていないのが正常です。日中の食いしばりが続くと歯やあごに負担がかかるため、気づいたら歯を離す習慣をつけましょう。
歯ぎしりで歯がしみるのはなぜですか?
強い力で歯がすり減ったり、歯の根元に負担がかかったりして、知覚過敏が起こりやすくなるためです。知覚過敏用の歯みがき粉でケアしつつ、歯科で歯ぎしりそのものへの対処を相談しましょう。
まとめ
大人の歯ぎしりは、ストレスによる緊張が寝ている間のあごに出るサインです。放っておくと歯のすり減りや顎関節症につながることもあります。寝る前に体の緊張をゆるめ、必要ならナイトガードで歯を守り、日中の食いしばりにも気を配る——この3つで負担はぐっと減らせます。あごのだるさや歯の違和感が続くときは、無理せず歯科に相談してください。

